インタラク恥ブが刺激的
好評につき、AVなCD-ROMの話をしよう。

いよいよ制作も終盤。本誌が発売のころにはパンツじゃなくてベールを脱いでいることだろう。その脱ぎっぷりに熱い視線が注がれているのが目に浮かぶようだ。

MacWorld Expo. TOKYOでは、出演女優のしおりちゃんと2ショットで熱く盛り上げちゃおうと思っていたのだが、何でも主催者側の要請でAV女優さんはダメらしい。そういうの目当てで人が集まっては困るというのだ。そんなところに目を光らせるのなら、質問しても答えられないコンパニオンをどうにかしなさい(あ、やっぱりしなくていい)。
で、肝心な作品はどんな具合かというと、

「この企画、それぞれ別々にして、4、5枚に分けて発売しませんか?」

ていうのが内部で真面目に会話されたくらいにサービス満点の盛りだくさん。僕が作るのだから、QuickTimeムービーを単に再生するというものは1つもない。かと言って、テクニックだけのクリックポイントだらけのもういやんなっちゃうインタラクティブムービーでは断じてない。

「マルチメディアにAVは不要です」
「AVって安易だし、反則だ」
「面白いAVソフトがない」

そういう人にこそ、このCD-ROMを試して欲しい。ちゃんと考えて作ってあるんです。

何を考えたか。パソコンモニタの持つ情報量だ(好きでしょ。こういう理論が)。 パソコンには情報がたくさん詰まっている。そう安易に考えがちだが、実際にはそうではない。パソコンモニタに映し出される情報は人を刺激するには少なすぎるのである。パソコンがどこか冷たく感じる理由はそこにある。わかりやすく言えば表情に乏しいのだ。

理論をより展開するために、広い海、空、山といったの大パノラマの中に実際にいる状況を考えて欲しい。その中で人は十分刺激される。人生観が変わるほどの刺激を受けることもある。だが、同じ風景をビデオに撮影してモニタで見るとどうだろう。「きれいな所だな」という感想はあっても、刺激を受けるほどではない。むしろ、刺激に乏しい映像だ。

理由は簡単。モニタは人を刺激するのに小さすぎるのだ。QuickTimeムービーならなおさらだ。ではどうすることができるのか。刺激的な映像とは何か。それは、単位時間当たりの情報量の多い映像だ。言い替えれば、めまぐるしい映像だ。多元的で、多重的で、無秩序であったりする映像。人が頭脳で整理するよりも速く次々と情報が到達し、その繰り返しが、いつか思考をショートカットして刺激になる。ジャンプして、スワップして、3Dして、リミックスして、インボルブして、分解して、リピートして、コネクトする。

人の操作に対してパソコンが応答する。これは古いアプローチだ。パソコンから人がどう刺激されるかこそが、これからのアプローチなのだ。刺激されないソフトはインタラクティブと呼ばないのである。


ASCII MacPower 1994.3月号掲載
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