レヴィ=ストロース講義

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レヴィ=ストロース講義 (平凡社ライブラリー) 単行本 - 2005/7 クロード レヴィ=ストロース (著), Claude L´evi‐Strauss (原著), 川田 順造 (翻訳), 渡辺 公三 (翻訳)

1986年に行われた、講義と日本人の学者たちとの質疑応答。人類学を始めとする学者たちとの質疑が行なわれた後、最後に経済人である日商岩井の人から「自分は50年以上海外貿易に携わり、アカデミズム畑の人間では無いが、この講義を聴いて思うところがあった。世界各地の人々と交易をする際、心からいい取引が出来たと思えるときは、相手と文化的にも相互に深い理解が出来た場合が多い。返して言えば貿易摩擦=文化摩擦である。経済の交流が円滑になるとともに、世界的に文化が融合・均一化される方向に向かうのでは?その際に起こる西欧文明とのひずみに批判が出ているが。。。」というような意味の質問が出る(実際はもっと上品で謙虚な言い回し)。ああ、この後911が起こり世界はテロとの戦いに入るのだなあ、現場ではすでに危機が感じられていたのだと、ぞっとした。博士の答えは「人類学史上、世界的に文化が融合した例はない。文化が均一化されようとすると、内部から多様性が生まれてくる」というものだった。やはりグローバル化は無理というか、不自然なことで、必ずその反発が起きるのだろうなと思う。このくだりは今まさにその実例が進行中なことで、ちょっと震えた。グローバル化とそれへに反発が第一次世界大戦を引き起こした、今まさにそういう状況という。。。

あと「農耕」が人類全体にとって幸せなことなのか?という疑問も提示された。狩猟採集による未開社会と言われているシステムでは1日に2〜4時間の労働で子どもと老人を含む家族を養え、余暇は信仰や芸能や制作に当てられる(たしかに、縄文土器の装飾は暇じゃ無いと無理よね)。一方私たちの社会では長時間労働により多くの人が疲労している。

若桑みどりの「世界の認識方法には2つある、円で囲まれた有限の世界とグリッド状にベクトルが無限に伸びていく世界」という言葉を思い出す。狩猟採集(持続可能で循環する自然環境)と、農耕(開発により際限なく広がっていく農地)。

講演が行われたのが日本というのもあると思うが、「ルース・ベネディクト」の名前も出てくる。人類学の世界では、人類学の研究が多くの人命を救った成功例として、GHQによる日本の占領が語られる。たしかにあの時点ではそうではあるが、占領がいまだに続いているのはどうなのか?人類学の学界は、これから日本とアメリカの関係がどうなっていくのか、政局とは別な視点で注視しているんだろうな。

農耕の起源を探る―イネの来た道 (歴史文化ライブラリー) 単行本 - 2009/7 宮本 一夫  (著)

農耕は人類に安定的な食糧をもたらしたが、それにより人口が増大、さらに外側へ移住し農地を拡大する必要が出てくる。そのようにして、農耕民は居住地を拡大し、狩猟採集民と接触する機会が増えただろう。。。