「同情するならエサをくれ」これがシャミの理論だ。

よその猫と喧嘩して耳が切れて家に帰って来た時、ケンカキズが化膿してお腹が日の丸弁当みたいに禿げてしまったとき、転がったボールを追い掛けて壁に激突して顔が腫れあがった時、まちがってしっぽを踏んづけられた時、「ああ、シャミ、かわいそうに」とシャミの顔を両手で挟んでおでこをくっつける。すると、シャミはこっちの関心がグッと自分に引き付けられたのを感じて、そのとき一番言いたいことを言う。「はらへった、めしよこせ」。

でも台所で魚をさばいている時、ミルクを飲んでいる時、そーっと知らぬ間に後ろにいるのはなぜだろう。しっぽを踏んづけられるのを待ってるみたいだ。そう、時々踏んでしまうことがある。するとここぞとばかりに声を張り上げて「メシメシ!」と喚くのだ。ぜったいアタリヤだ。