やっぱり気付いてたのね。わたしも毎日見てたよ。水たまりに浮いてるとこも、ひからびて行く過程も。死体処理班トンビがいつくるかと見てたの。今日はカラスが1mほど離れて佇んでたけど、手はださなかったみたい。あなたが怖がるかと思ってだまってたの。

海岸沿いには結構死体が転がってる。このあいだ貝殻をひろっているときもドバトの死体があったの。埋めてやろうかと思ったけど、いやこれはトンビの食糧になるんだと思ってそのまま通り過ぎた。

あるとき橋の上から下を見ると長さ2mほどの黒い固まりが岸辺に打ち上げられていたこともあった。数日後パソコン通信で、それはハナゴンドウクジラの子供だったことを知った。もう一度よく見たかったが、すでに研究者に確保され運び去られたあとだった。

私はタヌキの死体を拾ったことがある。もうすっかり乾燥してたけど。なぜかっていうと、数日前に動物の骨格を研究しているひとから「死体求む」というメッセージを受け取っていたから。でも、死体を引き渡した時に、下顎が砕かれているのは調査対象にならないとわかって、それ以来拾わないことにした。

国道134号線にはよくタヌキの轢死体が落ちている。タヌキの居住地の海沿いの松林の中を国道が通っているからだ。今やってる最中の国道の拡幅工事には、タヌキのための地下横断道建設も含まれているそうだけど。

98/08/08

海棲哺乳類ストランディング情報データベースで
http://svrsh1.kahaku.go.jp/index.htm
”神奈川” 県で検索すると出てきます。