あたしの弱点は「押しが弱い」ことなんである。
性格的にではなくて、実際に指圧が低いのです。エレベーターのボタンや呼び鈴や世の中のあらゆるボタンを、わたしは特に意識してエイっとかムギュ~とか押さなくてはならない。
夕食の鍋の後、ちょっと目を擦ったらなにかアレルギーの原因になるものが手に着いていたみたいで、粘膜が腫れ上がってしまった。海老かなー?白目の部分がブヨブヨになってまぶたの裏もゴロゴロして痛い。
とりあえず抗ヒスタミン剤の入った目薬でも射そうと左手の人さし指で下まぶたを下げ、右手に目薬を持って、じわじわと押す。
力を入れなくては出てこないし、一気に入れ過ぎてもドボドボ出て顔面が目薬で水浸しになる。ちょうどいい感じに1滴落とすってのが、もうほんと難しい。
その日は特に指力が弱っていたみたいで、押しても押しても目薬が出て来ない。まぶたを押し下げる左手も疲れた。年々指力が弱っているとは思っていたけど、とうとう目薬もさせなくなるなんて。。。
上を向いて片目を無理に開いて「出ない~」とじたばたしている私を見て、美幸さんが言った「ふたがしてある」。
「そんなバカな...だってふたはここに...」目薬のふたを持っているはずの左手の小指と薬指を開くと、そこにあったのは...さっきの鍋で使ったカセットガスボンベの赤いふただった。
ガーン。問題は指力じゃあなかった。
2001.01.07