9 17, 2011

脱原子力社会の選択

脱原子力社会の選択―新エネルギー革命の時代 [単行本] 長谷川 公一 (著)

わたしが読んだのは1996年刊。2011年増補版も出ているようだ。アメリカ、サンフランシスコのサクラメントにて、住民投票により原発が廃炉にされた。そのいきさつ。

トラブル続きだった、サクラメント電力公社のランチョ・セコ原子力発電所。スリーマイル島の事故後、反原発運動が始まるが、メンバーは25人ほどしかいなかった。チェルノブイリの事故後、自然発生的に原発に危機感を持つ人が増え連帯していった。

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反原発派が住民投票で多勢になれた理由

・ベイエリアと比較して保守的なサクラメントで多数を制するため、急進的な反原発運動に対するアレルギーを刺激しないよう、反原発一般でなく、1箇所の原発の閉鎖に的を絞る戦略をとった。その動機は安全性と経済性のみに照準を合わせた。そのため、カウンターカルチャー的な運動スタイルを持つサンフランシスコ周辺の反原発運動の参入を断ったことも。

・住民投票は有権者の範囲が小さいほど住民側の危機感が投票結果にストレートに繁栄されやすい。

・有権者の居住空間と電力サービスの受益者の範囲が完全に重なり合った。

・サクラメントは、環境グループ・社会運動組織の拠点があり、生活者としてサクラメント市民。運動ノウハウや資金などを供給した。

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廃炉決定後、廃炉そのものにも膨大な費用が必要だった。原発なき後、サクラメント電力公社はいかにして経営を立て直したか。

・省エネは発電に相当する 真夏の電力ピーク時に、電力会社からリモコンで家庭のエアコンのスイッチを切ることができる契約を導入。

・省エネ家電への買い換え運動。

・電気自動車の普及 夜間に充電することで 時間帯による消費電力のバラツキを補正。 電力会社の安定収入に。


とってもいいことが簡単に実現できるようだが、問題もあると思う。電気自動車や省エネ家電の開発・生産に必要な電力は家庭消費の数倍。それらは地元にない。電力需要の輸出によって実現したことにならないか?製造業地帯に問題を押しつけたとは?

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原発推進派と反原発運動派はそれぞれ違うロジックで動いているため、議論が平行になって歩み寄るのが難しい。そこで有用なのが、政策提案型のNPO。と著者は書いている。こんなわたしでも原発について考えてみようかとグラッと思ったのは「ミツバチと地球の回転」という映画を見て、今までとは違うエネルギー政策のありようがあることを知ったときだった。そういうNPOが存在することもそのとき初めて知った。その後福島の事故が起き、一気に切実な問題になったが。

わたしはだれが総理だろうが、大臣だろうが、暴言吐こうが、浮気しようが、どうでもいいと思う。正しい政策が実行されれば。大臣は誰でもいい。委員会に偏った人事采配を行わず、正々堂々議論が行われる場があれば。人物批判する時間がもったいない。それよりも同じ時間・紙面が、政策について検討されることに使われたほうがいい。

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