女性画家列伝 (岩波新書 黄版 318) 新書 - 1985/10/21 若桑 みどり (著)
有名医大の入学試験の点数に、性別によって一様に加点または減点されていたという事実が発覚した事件があり、単純に「ゆるせん!!」と怒りをあらわにする人々、「建前ではそうだが、過酷な医療の現場では女性は使えない」という人々、「じゃあさ、政府の働き方改革って何なの?」SNSは大賑わい。単純に考えると、
・今のままの体制を変えないために、女性医師を増やさない(それほど優秀でない医師に、がむしゃらに働かせる)
・女性医師の絶対数を増やして、医療現場を改革する(優秀な医師に適度に働かせる)
のどっちかだと思うけど。。。
わたしの大叔母(K)は娘時代に先生について絵を習っていたが、お見合い結婚した相手は、大叔母が絵を描いていると女のくせに生意気なと殴ったという。それに耐えきれず大叔母は乳飲み子を置いて家を出た。都会でタイピストとして働き自立できたが、子どもを置いて出たことで自分を許せず苦しんでいたときにカトリックと出会った。大叔母は自分をゆるしてくれる、神(父の代理であり夫の代理でもある)を手に入れ、心の平安を得た。
この本は帰省中に母の書棚に若桑みどりの名前を見て、おっと思って読んだ本。12人の女性画家についてその作品と生い立ちと人物についての考察。画家という仕事も女性にとってはきびしい仕事。若桑みどりは、女性が画家になる条件として、父親の存在または不在が大きいという。父が娘の才能を理解し男性と分け隔て無い教育を与えた場合、または最初から父が居ず家父長制の圧力から自由だった場合。そして仕事を続ける条件として、家族の理解と協力、または家族の不在があったという。
女性画家は男性画家より少ない。では女性には創造性が無いのか?そんなことは無いですよね。一人でできる制作はむしろ女性の方が担っている場合がある。でも大人数でのチームワークとなると、女性は排除されがちと著者はいう。
*このblogに出てくる私の大叔母は二人いて、どちらもカトリック信者でまぎらわしいので、イニシャルを付けました