海岸はいつも風が吹いている、大気が安定して無風になることはめったにない。この夏、そんな珍しい夜を逃さずに西浜で花火をした。
この花火セットは3年前、羽田で飛行機にもちこもうとして、没収されたもの。わたしがそんなものを持っていると知らなかった相方は、わたしのリュックから大きな花火セットがゾロゾロ出てくるのを、ひえーって顔で見ていた。だって知らなかったんだもん。花火も火薬のうちに入るなんて。田舎のおいっこたちに、ドラえもんメガネがついてる花火セットをお土産に持っていきたかったの。検査官のおねえさんに、これはお預かりしますって言われて、泣く泣く渡したものの、搭乗ゲートの方に数十メートル歩いてから、はたと思いついて走って戻り、花火の袋を破いて、ドラえもんメガネとキティちゃんメガネだけをむしり取った。ので、一応甥っ子たちにお土産は渡せたんだけど。帰りにまた羽田で、花火を受け取り家に帰ったが、もう花火が楽しい年でもないし、捨てるにも大量の火薬ってことでむずかしい。花火はそのまま押し入れで3年間眠っていた。
西浜はバーベキューをする高校生たち、ロケット花火をやりにきてる若い子たち、真っ暗なのにたくさん人がいた。私たちは、遊びに来たんじゃない。この大量の花火を処分するのじゃ。という「用事」なのだ。1本1本手に持ってやると時間がかかってしようがないので、砂にたくさん刺して、次々点火していった。どうせやるなら、なにか文字とかマークになるように並べてやればよかったな。後日写真を見ながら思ったのだった。