うるさい日本の私「音漬け社会」との果てしなき戦い

ガンコ親父の孤独な戦いの記録。この本が出たのは1996年、著者の必死の抗議のおかげか?、当時と比べるとあちこちで無意味なアナウンスが減った気がする。筆者は大学の先生で専門分野は哲学。先週まで読んでいたリスク管理の本と比べると対照的でおもしろい。

うるさい日本の私―「音漬け社会」との果てしなき戦い

これも環境問題の一つだと思うけど、「水俣病などのひどい公害を経験したという事情から、日本で一般的に環境リスクとは、イコール人間の死や病気である。だから、人に被害がないと問題にされにくい、そこが日本以外の国における環境リスクの捕らえ方と違うところである。」から始まる環境リスク論のスマートさとは正反対。人を説得するにもいろんなやり方があるもんだと思う。

坂本龍一が「人間の五感のうちでもっとも制度化されやすいのは耳だ」と何かで書いていた。フィルターやフタがついてるのかと思うほど、慣らされやすく、意図的に聞かないこともできる。初めての場所では人はいろんな音に注意をはらうけど、毎日同じ音を聞いている人はその音を聞いていない。そして不特定多数に対する音の呼びかけは、それが自分に言われているとは人は思わないんだな。