CGで復元された晩餐図をニューヨークの街頭に持ち出して、何の予備知識も持っていない普通の人に見てもらった感想がおもしろい。イラクから政治亡命したタクシー運転手は「故郷での人権について話しあう集会を思い出す。議論が白熱するが何一つ決まったためしが無い」といい、バーテンダーは「バーのカウンターを内側から見た風景だ」という。たしかに!テーブルの片側にだけ人がいるなんて変。TVのホームドラマの手法の起源はこれだったか。またあるイタリア人はマフィアの会合だという。「この中に裏切り者がいると親分に告げられてみんなびびってるところ。情婦をのぞいて」その情婦とはヨハネのことらしい。それはこの女だと指さしたそうだ。ダ・ヴィンチは市井の人びとをデッサンしてモデルにしたそうなので、12使徒はイタリア人のサンプルでもあるか。
ところで、わたしはミラノでこの実物を見た事がある。向いの壁にその時代の別人の作品が描かれており、その絵もすばらしい絵なのだが「何もかもが画期的だったダ・ヴィンチの絵と比べられて500年間ボロクソ言われ続けている不運な絵なのでございます」とガイドさんに言われていた。