日本の都市は海からつくられた—海辺聖標の考察 

これも「共感覚者の驚くべき日常」と同様に著者の思考の遍歴がわかりやすく語られています。私はこう思う。だけでなく、いかにして私はこう思うに至ったか。の部分がおもしろい。中沢新一の「アースダイバー」に感じた、イマイチ納得いかない中途半端感が解消されてすっきりしました。

岬の突端や島が聖なる場所として信仰の対象になるのはなぜか?著者は実用的な理由から仮説を立てています。漁民が海上から現在位置を確認するために使う、陸上の目印。それをヤマというそうですが、ヤマは自然の地形の場合もあり、人が建てた建造物の場合もある。海に出ていて悪天候で陸地の方向を見失った時、ヤマを見失わないよう祈りながら海を進み、無事陸に戻ったら命を救ってくれたヤマに感謝しお参りをする。それが信仰の起源だという説です。

ちなみに「試験でヤマをかける」のヤマの語源はこれだということです。初めて知った!