一神教の誕生

一神教の誕生—ユダヤ教からキリスト教へ

多神教の宗教は、人間側が神を選ぶ権利を持っている。御利益がなければ、ダメな神として人気がなくなり、神も滅びる。

古代のユダヤ人は出エジプト、カナンへの定着をもたらしてくれたヤーヴェを崇拝していたが、生活に余裕が出来ていくると、他の神も崇拝するようになった。ところが前八世紀〜六世紀に、国土の半分がアッシリアに滅ぼされ、残った半分もバビロニアに捕囚されて、ユダヤ人の国は滅びた。ダメじゃん、ヤーヴェ、役立たず!と神は見放されるところだったが、そうなると神がいなくなって困る。

で、新たな状況が出てくる。それは、神は悪くない。神が民を見捨てたのは、みんなが他の神様を崇拝したからだ。悪いのは私たちだったんだ、という罪の意識だそう。この罪のシステムにおいては、神様が期待に応えてくれなくても神を信じ続けることが出来る。

罪を感じることで、相手に失望しなくてすむ、か。