プリオン説はほんとうか?

プリオン説はほんとうか?—タンパク質病原体説をめぐるミステリー

今日は気分転換に1日ですぐ読める1冊。

去年の11月に発行された本。BSE(狂牛病)研究の今現在。そもそも狂牛病とはどんな病気か。これまでの研究の経緯。危険部位を除去すれば安全とする説の根拠になっているプリオン説とは?著者はプリオン説の問題点を挙げ、ウイルス説を提唱する。

病原体がいまだ未発見、免疫反応が出ないため、感染しているかどうか確かめる術も無い。潜伏期間が数十年と長く、症状が出た時にはすでに手遅れ、致死率100%。そんなやっかいな病気を一体どうやって研究するのか?というところから、一般の人向けにわかりやすく解説されている。

途中ちょっと感情に流されているのでは?と勘ぐってしまう点もあったけれど、プリオン説への反論は理屈が通っている。長崎大学医学部の実験によると、病気の末期には神経系から脳に感染源となりうる物質が蓄積されるが、感染初期には唾液腺や脾臓などのリンパ組織に感染物質が多く存在した。。。

って、それじゃあ脊髄と脳を取り除いたぐらいではダメじゃないですか?

ウイルスがいかに細胞にとりついて増殖するかとか、特異なウイルスをどうやって発見したかなどの話もおもしろい。実験結果の数値を改ざんするのは違法だが、グラフなど見せ方を変えることで導きたい結論の方へ印象づけることが出来るという話もおもしろかった。