明るい部屋の謎--写真と無意識2

明るい部屋の謎--写真と無意識 (単行本)

世界を象徴的に消化=同化する自らに固有のプロセスに他者を巻き込みたいという欲望は普遍的なものである。

不条理が渦巻くこの世の出来事を自分に理解できる大きさと形にして引き出しにしまいたい、そして安心したい。できればすべてを言葉に置き換えてすっきりさせたい。なぜ生きるのか?なぜ死ぬのか?なぜ異性にもてないか?納得いく説明がほしい。その適用範囲の広さにより、宇宙全体をカバーするなら科学、文明共通なら哲学、気候風土内なら宗教や占いといろいろあるものの、人間は常にそういう活動をしないと不安で生きていけないものらしい。

著者は、その過程も言語によるもの(哲学)映像によるもの(美術)身体によるもの(カメラを構えてシャッターを押す動作とか?)様々あり、かつてはすべての過程は最終的に言語に集約されると思われていたが、映像には映像の、身体には身体の象徴化プロセスがある。。。。。って普通そうでは??

それに映像には、自分の脳内にある過去のトラウマや家族の秘密を解放すべく、つまり象徴化しようとする試みの痕跡が残るって、私が大嫌いな近代美術の研究方法、作家の年譜を調べて個人的な出来事が絵画におよぼす影響を調べるという探偵ごっこを思い出してちょっとムカっとした。まったく心理学者や占い師は油断ならない。

著者の他の本、タンタンの冒険旅行シリーズを精神分析したという「精神分析家を訪れるタンタン」には、私自身がタンタンが好きなのでちょっと興味あるけど。ああ、もうやられてる!

タンタンとエルジェの秘密 (単行本)