SMPシンポジウム報告書を読む

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 会場で、「瀬上の森パートナーシップ」という団体主催、他関連団体共催・後援による、「横浜の谷戸の生物多様性保全を考える」というテーマのシンポジウムの報告書が配布されていた。その記録を読む。

 基調講演は浜口哲一さん。「生物多様性」とは何か?、生物多様性条約と国家戦略について、身近な自然の生物多様性を守る意義(この場合は横浜の谷戸)について。

■生物多様性とは?
・多様なものがバラバラにあるのではなくて、元は一つの生命体。それが枝分かれした。
・多様性の原因は遺伝子の不安定さ。
・生物多様性には3つのレベルが。「遺伝子の多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」

 日本は生物多様性条約に加入し、条約に従い「生物多様性国家戦略」という文書を作成した。

■それによると4つの危機があるが、その中で伝統的な土地利用の衰退による危機が最も課題(他の3つは、開発・外来種・温暖化)。

■土地利用の将来像(グランドデザイン)は
・都市においては、人々は生物多様性に配慮した購買活動、持続可能な消費行動をする。
・里山においては、持続可能な農業、エコツーリズム・バイオマスなど新たな資源利用が行われ鳥獣との棲み分けが進む。
多くの人が納得できる内容が国家戦略に謳われている。それを単なる文書に終わらせず実現する努力が必要。

パネルディスカッションより

■自然に接する態度(場所との関わり方)には二つある、
・消費的なもの(物見遊山など)
・生産的なもの(環境を維持する活動、農業など)
時間はかかるが、生産的な立場で場所に接するよう意識を変えていくのが望ましい。

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 「休みの日に遠くから来て一瞬の楽しみを味わう」という関わり(キャバクラ的)VS 「長期にわたりその場を保全するよう責任を持つ」という関わり(家族愛的)。

 サーファーの間でいうローカリズムですかね。ただ、何か問題が起きたとき、本気で対応するには、ローカルの力だけではなかなか難しい。広範囲の知名度、ビジターの力も必要になるでしょう。かといって際限なくビジターを受け入れていたら、かえってポイントは荒れてしまう。。。直接的な見返りがなくても、環境保全に力を貸してもらうためには?野球やサッカーチームのように巨額の資金やメディアの力がなくても、見ず知らずの人に共感してもらうには?うーむ。。。