市民の科学をめざして

市民の科学をめざして (朝日選書) [単行本] 高木 仁三郎 (著)

このたびのフクシマ後、twitter上でいろいろな意見が交わされている。
「理屈はわかんないけど怖いのはいやだからとにかく全部すぐやめて」
「みんな騒ぎすぎだよく考えろ」
「自分の家族は避難させておきながら」
「科学という物を知らないバカめが」
「知ったかぶりはヤメテ!」
「オレはわかってる」
あーもういやんなる。

科学技術が専門的になりすぎて、人間サイズの感覚と合わなくなってるのね。著者は最先端の科学に、生活者としての視点がないことに危機感を抱き、そこをなんとかせねばと思っていた。

科学技術はどんどん巨大化し、強力化し、精巧化する。しかし、時に思わぬもろさが露呈する。犠牲になるのは無力な市民や野生の生き物たちだ。巨大な科学技術の開発に振り向けられた頭脳や経費のおそらく一万分の一も、そのネガティブは影響を評価したり防いだりすることのために向けられていない...(p6)
私は、立ちつくす市民(以下、住民、生活者、民衆、公衆などの概念を含むものとして市民という言葉を使う)途中略 や他の生き物たちの立場に立ってものを考えるという視点が、現代科学技術の開発の現場にはまったく欠落していることに根本の問題があると考える。(p6)

今ほどこの言葉に深くうなずく時はないだろうと思う。

巻末に、新しいタイプの科学者を育てるプロジェクトの紹介がある。市民運動を支えられるオルタナティブな科学者、NGOの養成。一般人向けの科学の批判・解説を刊行する。など。

以前読んだ、「フリーマン・ダイソン科学の未来を語る」への答えの一つでもあるかなあ。
r2: フリーマン・ダイソン科学の未来を語る

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イベント情報 : 大間原発反対現地集会 [2011/5/22]