ミャンマーの柳生一族

高野秀行氏のアジアもの

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫) 文庫 - 2006/3/17 高野 秀行  (著)

ミャンマーの政権について、なんとなくわかったわ。著者が中央政権を、江戸幕府に見立てて解説してくれているので。著者の本は探検旅行記というジャンルに属していて、現地でのあれこれもおもしろいが、それは出かける前に細かく調査や根回しをしているからこそだなあと思う。

ミャンマーは長らく鎖国状態にあり、外国との接触はなかったのに、著者はミャンマー人に、すぐに誰とでもコミュニケーションできる国際性を感じるという。それは少数民族が多く、国内といえども宗教も風習も考え方も違う人々が隣り合って暮らしているからではないか。。。著者はそこではたと気づく。かつて日本もそうではなかったか?国内に独立国家のような藩が存在し、言葉も考え方も違う人々が共存していた。。。

著者はこの紀行を書く以前に、非合法にミャンマー・中国・タイの国境地帯を旅していて、それを「西南シルクロードは密林に消える」「アヘン王国潜入記」という本に書いている。その本のせいで、正規ルートによるミャンマー幕府直轄地にはもう入れないと思っていたところ、意外にも柳生(ミャンマー軍情報部)による審査にパスし、難なくビザが下りた。ところが、後で日本大使館員の情報によると、柳生総帥と日本大使が同じヘリコプターに乗り合わせた際、大使は懐より「アヘン王国潜入記」を取り出してパラパラめくり始めた。それを見た柳生がその本を2・3冊送ってほしいと頼んだので、大使館員によって著者の本は日本より取り寄せられ柳生に届けられた。ということがあったらしい。

あーまた後2冊読まなくてはならなくなった。

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西南シルクロードは密林に消える 単行本 - 2003/2/27 高野 秀行  (著)西南シルクロードは密林に消える

というわけで、読んだ。おもしろかったわー。Google Mapsの航空写真を確認しながら読むと、地形がわかりやすい。登場人物は全員少数民族ゲリラのみなさんだが、その一人一人の個性が味わい深い。とある村で結婚式に出会うと、お祝いの席で赤いご飯と米のお酒がふるまわれた。。。って日本と一緒やん。照葉樹林文化の特徴でネパールあたりまでそうだとはきいていたけど。この中に、乾燥納豆の写真が出てくる。次は著者の納豆本を読まねば。

著書の中に参考図書として出てくる、吉田敏浩「森の回廊 ビルマ辺境、民族解放区の1,300日」という本を検索していると、この吉田さんという人が「密約」の著者でもあるとわかった。

そして、高野秀行氏のFacebookを見ていると、よくシェアされている片野ゆかという人が奥さんらしく、先日読んだ「動物翻訳家」の著者だった!

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極楽タイ暮らし―「微笑みの国」のとんでもないヒミツ (ワニ文庫) 文庫 - 2000/9 高野 秀行  (著)

何かを始めるにあたって、意思を固めるということがない、しかしやれば結果を出す。というタイの国民性に親近感感じるわ〜。

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活 (講談社文庫) 文庫 - 2015/9/15 高野 秀行  (著)

どうでもいいことではあるけれど、コミュニティの外の人にとっては意外な事実が語られていたりして、興味深かった。NHKで放送されていた「世界の入りにくい居酒屋」みたいな楽しさがある。