5 17, 2011

知られざる原発被爆労働

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知られざる原発被曝労働 ---- ある青年の死を追って ----
藤田 祐幸 岩波ブックレットNo.390

フクシマと同じ沸騰水型原子炉の浜岡で働いていた青年。
原子炉は古くなるほど汚染されていく、技術者の被曝量も増える。
放射線医学の大家が、原発労働者の健康よりも会社の利益を優先に考えている場合がある。原発被曝は80年代に減少。企業努力により定検作業の一部が自動化されたため。
しかし90年代からまた増加傾向。原子炉の老朽化により長期点検、部品交換、事故対応など大がかりな作業が増えたため。
電力会社社員の被曝は全体の5%。95%は下請け労働者。

下請けに3種類。
1.制御系・保安系。データの計測、装置の維持管理。年間を通して勤務。最も技術力が要求され、被曝リスクも高い。
2.メーカーの部品の保守管理。原子炉系とタービン系。バルブ、ポンプなどの溶接配管なども。定期点検時のみの派遣。短期間の被曝
3.放射能を除染する清掃労働。農村・漁村からの出稼ぎ、都市の失業者など。定期点検時のみ。

上の関町祝島の元原発労働者への取材。祝島には各地の原発に出稼ぎに行っていた人たちが数十名いる。祝島で原発反対運動が高まったのは、その人たちが原発の現実を村民に伝えたため。原発労働体験者は今も皆体調に悩みをもっている。

原発被曝労働者30万人。原爆の被爆者手帳保持者30万人(1995年)。国内に同じ規模の2つの被爆者の集団。しかし国から受けることのできる権利は雲泥の差。

一般人の許容量1ミリシーベルト/年
 原発労災認定5ミリシーベルト/年

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35年間で10人労災認定 原発労働者のがん - 47NEWS(よんななニュース)

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追記2011.11.25岩波書店のサイトによると復刊されたそうです。

3.11以後,福島の原発については,日々報道されています.その現場で,きびしい状況のなかで働いている人が,たくさんいらっしゃることも,報道されています.そして被曝もされていることも,またしばしば報道されています.
 この本は,1996年に刊行されたものですが,ぜひ読みたいという声が寄せられ,今回,復刊いたしました.
 副題にもあるように,ここには,原発労働者として働いていた青年が亡くなったことについての,労災認定をめぐっての軌跡が書かれています.同時に,ほとんど知られていなかった原発労働の実態も描かれています.
 長いときを経て,いま,この本が必要とされる時代がきたことを,複雑な思いで受け止めながらも,多くの方に読んでいただければと思います.
 なお,この本は,電子書籍にもなります.各電子書店サイトからお買い求めいただくことができます.

(2011.8)
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