著者が子供のころ住んだプラハで、ロシア人の友人がくれた「ハルヴァ」というお菓子が出てくる。当時の著者にとっては忘れられない味だったそう。その幻の味の情報が友人知人によって、旧ソ連イスラム圏、東欧、ギリシャ、シチリア、スペイン、インドと各地から寄せられる。
各地でのレシピを見て、ハッこれは!と思い当たった。トルコ人ペテクさんのお宅で一緒に作った松の実のヌガー。あれにそっくり。大量のバターとお砂糖と小麦粉を火にかけながら混ぜて混ぜて混ぜて腕がクタクタになって4人で交代しながら作ったのだ。空気を含んだやらわかいヌガーに松の実を入れて、冷まして固まったのをサクっと口に入れると、味は強烈に甘く、重かった。
ペテクさんが「おいしい?」と心配そうに顔をのぞき込むので、3人でおいしい!と叫んだけど、たくさんは食べられなかった。たぶん、とっても疲れたとき一口食べるととびきりおいしいだろうな。お砂糖の甘さしかないから飽きちゃうのよね。フレーバーが必要なんだわ。松の実だけじゃなくていろんなナッツや香辛料を入れたらどうだろか。マサラティー味のマサラハルヴァとか。。。あ、でもイギリスにあるというミント味のハルヴァはめちゃくちゃマズイって書いてあったなあ。
筆者が飼っている猫も出てくる。拾ってきた野良猫の兄弟で「無理」と「道理」。この子たちが麺類が大好物と読んで、ちょっと安心。うちの猫だけじゃなかったんだ。茹でたばかりの味のついてない麺類を「あー、たまりません」という顔でツルツル食べるのは。