ところで、大磯に「鴫立庵」という俳諧道場があります。道場?俳句で格闘?なのですが、この庵の名前の由来は、西行がここらへんで
こころなき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮
と詠んだという言い伝えにあります。
西行の研究家でもあった白洲正子は「このごろの研究で、鴫立つというのは鴫が飛び発つのではなくて、ただ立っていたことを詠んだという説が出てきたが、大きなお世話である。飛んで行ってしまったからあはれなのであって、ぼーっと突っ立ってるんじゃ話にならない」と書いていました。
去ってしまった鳥、その後に残された静寂、それも秋〜、さみしい〜、という感じがしますが、私はシギが冷たい風に吹かれながらただ立っている姿もけっこう風情あると思います(ただしエサを食べている時をのぞく)。それよりもシギが沢のように見通しのきかない所にいるのは見たことないけどなあ、というのが疑問です。その鳥は本当にシギでしたか?西行さん。
願はくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ(西行)
あくがるる心はさてもやまざくら散りなんのちや身にかえるべき(西行)
もうすぐ桜ですね。
大磯には「鴫立亭」という有名な洋菓子屋さんもあります。