「スクールボーイ閣下」を読み終わってから、ジョン・ル・カレは私にとって一級の小説家になった。スパイ小説というジャンルであるにもかかわらず。あれから20年。またル・カレと出会った。
私の亡くなった祖母は言った「男には社会的立場ってものがあるからね。言いたい事を言えないんだよ」「平和を守るのは女の役目だよ」と。子どものころから大事に教えられて来た事が、今踏みにじられて(日本はイラクに派兵していて、イラクでは人がたくさん死んだ)それをわたしはただ見ている。
ジャスティンはテッサが死ぬまで不正を知らなかったことになっている。でも本当は知っていたのかもしれない。きっと子どものころからそのようなことを見続けてきたんだとおもう。そしてそういうことに悩むことから自分を守る術も身に付けたにちがいない。
物語の終わりの方に出てくるセリフ。「女たちがアフリカ唯一の希望なんだよ」「女は家庭をつくり上げ、男は戦争を生み出す。アフリカ全土が男女の戦いなんだよ」男性は女性のように強くは生きられない。でも女性だってむずかしい。実際テッサは死んでしまったし。
ル・カレの「Absolute Friends」がはやく翻訳されないかな。されてるかもしれないけど、あと二年は刊行されないかもしれないな。
(ナイロビの蜂は映画化されたらしいけど、まだ見てないです。)