6 22, 2007

猫とスパイと源氏物語

恋と女の日本文学

「打ちのめされるようなすごい本」に紹介されている本から、すぐ読める軽い本をパラパラ見る。「ネコのこころがわかる本--動物行動学の視点から」は犬猫のマッサージで有名なフォックス先生の本。著者は動物の行動の研究のため猫をたくさん繁殖させる仕事をしたことがあった。最初単純に考えて、オスメス1匹ずつのペアをそれぞれケージに入れておいたが、子猫は全く生れなかった。そこで大きな部屋に猫たちを放すとオスたちの間に階級が生じ、トップのオスがすべてのメスを妊娠させてあっと言う間に子猫だらけになったという。

数ある中から選べることが大事なのね。そしてメスのみなさんの「ミーハー力(りょく)」もあなどれない。「彼ってよくない?」「えー、あたしもそう思ってたの」。。。結局、サッカーにしろ音楽にしろ宗教にしろ女性のミーハーの力によって維持されているのだ。

。。。という部分を読んだところで、丸谷才一の「恋と女の日本文学」に移る。いやあ、著者の言葉は非常にわかりやすい。しかし気持ち良く読んだ後、自分で消化しようとすると言葉が見つからない。それはつまりわかった気になっているけど本当はわかってない。んだろうな。中西準子さんの本を読んだときも思ったけど、上手い人が書いた文章を読むとものすごーく納得する。でもそれを誰かに伝えようとすると、あれ?うまくできない。自己開発セミナーか?「とにかく○○さんに会ってみて」「そんなにいいなら今自分の口で説明してみてよ」「。。。」「できないでしょ、内容じゃなくて言い方にだまされてんのよ」ってことになる。

というわけで、納得したつもりになっていることを説明できないが、平行して思いついたことがあった。わたしは911以後、人は権力とどう関わりながら生きていくのか?ということに興味を持つようになった。そのサンプルを並べて見せてくれたのは「ナイロビの蜂」だった。

ル・カレといえば、「パナマの仕立屋」が映画化された「テイラー・オブ・パナマ」を先月テレビで見た。(手嶋龍一の「ウルトラダラー」にも「パナマの仕立屋」のパロディが出て来る。勇気あるなあ。)配役からしてもうゲラゲラ笑いながら見た。私は最高だと思ったけど、007モノが好きな人にはウケないだろうな。


と脱線してばかりだけど、「恋と女の日本文学」の後半に収められていた「女の救はれ」は非常に興味深かった。そうか、源氏物語のオチはそこにあったのか!恋の煩悩から解き放たれた快感。女人成仏 nyoninjobutsu 。それある。世間体とか向上心とか自分探しとか女の道はプレッシャーだらけだ。祖母は晩年いろいろなことから解放されて本当に幸せそうだった。シワが増えたり体が衰えたりしてもそれとひきかえに手に入る幸せもあると思ったのでした。丸谷先生ありがとう!

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