3ヶ月読んでいたことになる。最後のページをめくると、旅が終わってしまった時のような寂しさでがっくりしてしまう。空港から家に帰るために普通の電車に乗ったときのような。
かつて少年使節だった4人のそれぞれの最期。。。国外追放、病死、棄教、殉教。棄教した一人は、キリスト教か仏教かという以前の問題として、宗教に対する信仰心そのものがなくなってしまった。彼はわたしだ。と思う。
16〜17世紀の80年間に、日本にカトリックの布教の波が来て引いて行った。それはカトリック国スペイン・ポルトガルによる世界帝国の拡大と、やがて覇権がプロテスタントのオランダ・英国に移って行った事と関係している。そうです。
やはり宗教と経済は切り離せないと思う。しかし日本では、隠れキリシタンという、世界でも類を見ない信仰の形が残った。
神父の追放令が出たとき、ある神父たちは本国スペインの軍事力で威嚇し武器をとって戦おうとした。またある神父たちは、信者たちを見捨てるわけにはいかないと国外に逃げずに地下に潜って活動を続けた。
前者の神父たちの行動は、時の権力者のいっそうの猜疑心を呼び起こし、弾圧に拍車をかけた。後者の神父たちは全員処刑され教会が破壊されても、民衆の心に信仰を残した。
違う文明が出会い影響を与え会うということ、自分たちの文化を分かってもらうということについての、失敗事例と成功事例がここにあると思う。
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