6 04, 2010

桑の木

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何から書いてよいのやら。。。つぎつぎと起こることに、右から左にただただ対処するだけの日が過ぎて、普通ではないが普通の日々が返って来つつある。

春になっても一向に暖かくならず、食が細く元気がなくなっていたシャミ先生(19歳)。高齢だからと思っていたら、ある日全く食事を受け付けなくなった。そんなこと、シャミの人生で2度しかない。これは大変一大事。

病院に連れて行って、検査をして、腎不全が進んでいたことがわかったのだった。半年前の検査では何ともなかったのに。。。獣医の先生に覚悟するよう言われ、昼夜点滴をするため入院したシャミを残して、川沿いの道を歩いて家に帰った4月28日。夕日を映し葦が茂る「千の川」は涙川。

入院は大事をとって3泊4日。毎日夕方自転車で様子を見に行った。腎臓とは不思議な臓器なり。ソルラクトという生理食塩水+強肝剤を点滴するだけだが、日ごとに食欲も戻ってきて、退院の日にはピカピカに生まれ変わったようになったシャミ。

だが定期的にリンゲルを皮下輸液しなければならず、そのたびタクシーで通うのは猫も疲れるので、先生と相談して自宅でわたしが施すこととなった。最初は怖くて泣きたかったが、やらなきゃシャミが死ぬし、今でも慣れはしないが、とにかく自分がやることを受け入れた。と文章に書くと、まだ他人事のような気もするが。

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シャミは腎臓の代わりに老廃物を吸着する活性炭の粒がカプセルに入っている薬を一回1粒、一日2回飲む。彼女のような強情な猫のために、カプセルを口に放り込む道具があり、助かった。シャミは毎回屈辱なのでごきげんはよくない。最初は高い薬だったが、わたしの覚悟を見た先生が、安いジェネリック薬「マイラン」(メルクメジン)に変えてくれた。先生によると、強情で強欲なのが長生きの秘訣だそうな。

毎日大量に水を飲み、薄い尿を排泄する。だんだん体内の水分が抜けてくるらしく、口の粘膜が乾いて、食欲はあるが口が受け付けなくなってくる。皮下輸液で1度に100ccぐらいソルラクト液を入れる。水分はゆっくり皮下から体全体に染み渡り、脱水から回復する。

輸液した後のシャミはちょっとブヨブヨしている。食欲も絶好調でドライフードをわしわし食べる。数日するとウエットなものしか食べなくなる。生き物とは化学成分でできているものだなあと思い知らされる。

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腎不全になってから、餌は病院でもらったロイヤルカナンの腎不全用のドライフード、ウエットフードのトレイタイプ、パウチックタイプに変えた。ドライフードはまずいらしく、2kg入りを買ったが、非常に不評。同じドライフードの高嗜好タイプのスペシャルは大好き。2種類を混ぜて食べてもらっている。

トレイタイプも口当たりがざらざらしてイヤらしい。パウチックタイプはスープが多くて大好きだ。それまで食べていたサイエンスダイエットのシニア用も成分表示があり、タンパク質、リンの値が低いので食欲がないときは、時々与える。

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苦しい、なんとかして、と訴えるシャミの背中に、わかったわかった今やるから、と針を刺すのはなんとも切ない。化膿したらどうしようなどと思うと、ものすごく怖い。私たちが若かった頃、キャンプでランタンを吊すために使っていたスタンドが、今では猫の点滴用。。。

mixiに「猫の慢性腎不全」というコミュニティがあり、「ついついいえない弱音をここでいいます。」というトピックがあったのには助かった。まだ自分の気持ちの整理がついていず、発言はできないが、同じような人がいると思うと心強い。

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そうそう、この写真。シャミの腎不全と皮下輸液をすることを受け入れ、病院に機材だけ受け取りに行った帰りに、見た桑の実。タクシーで何度も通ううち、秘密の抜け道があることを知った。その畑の中の緑の道を自転車で通っていて、見上げた空。

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