科学の研究は、それ自体がただちに何かを生産するものではなく、産業的には自立しにくいので、研究を続けるためには国家規模の巨大な権力・資本の庇護下にある必要がある。そのため、基本的に科学は国家戦略と共に歩むことになる。もともと科学とは「御用」なのであり、研究内容より、予算を獲得できる研究者が偉いという組織枠の中で行われている、という前提からの出発。
どこかバレエ、オペラなどの大がかりな総合芸術と似ている。宗教もかな。歴史的に長く存続できた宗派には政治の庇護があった。科学と宗教は対立することが多いけど、あれは似たもの同志、キャラがかぶるので仲悪いんじゃない?
科学・芸術・宗教などは、政治や産業など俗世的なものから独立した孤高なものという印象だが、現実の姿はかなり違う。それを歴史的に検証し、これからの進むべき道を考えようという本。典型的な例はやはり核兵器の開発。各国における原爆の開発(日本も終戦前までやっていた)その派生物である原子力発電について。