「主権者」は誰か――原発事故から考える

「主権者」は誰か――原発事故から考える (岩波ブックレット) [単行本(ソフトカバー)] 日隅 一雄 (著)

官邸前のデモについて、まあ主催者の顔ぶれを見るとかつての反原発原理主義派を思い出して、保守派の人から批判が出ているようだが、いやだなと思う気持ちはわかる。でも以前とはもうちがうんだよ。ありえないことについて議論してるんじゃない。

すでに事故は起きたという事実。それにより人が住めない地域がこの国土にあるという現実。事故処理・補償・安全対策・使用済み核燃料の保管費用まで経費に含めれば原発は本当に安価なのか?(安全対策の費用をケチったために事故は起きた)。そもそも日本の製造業も人口も減っているのに、今までのように電力が必要なのか?

うちの近所の工場や研究所も、日産、松下、武田薬品、どんどん閉鎖、海外へ移転した。その跡地はショッピングセンターやマンションに。地元の友人の何人かは工場の閉鎖とともに転勤や転職。遠くへ引っ越す友達のお別れ会をした。こういう地域に住んでいる人は、もうリスクの高い原発まで使ってエネルギー確保する必要はないと思うでしょう。

けど住民には選べない。法律により送電ができる会社は地域に一つしかないから。送電分離をやって、住民が自分が支持する発電方法による電気に料金を支払うことができるようになれば、市場原理が働いて国も電力会社も現実を見るようになるだろう。

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デモについて、大手メディアが取材しないので、ラジオを聞いているが、わたしが驚いたのは、このデモには右派の人も加わっているということ。デモのスローガンは「再稼働反対」だけど、参加している人は「とにかく今すぐ反対」しているわけではないこと。ただ「今のままでいいわけない」という焦燥感がある。参加者はインターネットで情報を得て、個人の判断で参加している。

かつて日本にも原発反対運動が高まった時代があったが、その後終息してしまった。あのときの過ちを繰り返したくない。今回のデモにはその教訓が生かされていると思う。「脱原子力社会の選択」にあったように、「反原発一般でなく、1箇所の原発の閉鎖に的を絞る」「動機を安全性に絞る」で統一し、保守派のアレルギーと反対派の分裂を抑える手法が使われていると見た。

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私自身は、いままでどおり。
送電分離をやってくれる政治家に投票する。

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この記事は、勝谷誠彦がラジオでデモについて「負け癖が付いている左翼(大江健三郎)は出てくるな」と言ったのをPodcastで聞き、すごくわかるけど、だからってデモ自体を否定するのはよくないと思ったことによるのですが、その1週間後の放送を聞くと、勝谷さんデモに行って「政府の手続きはおかしい!」と気炎を上げているではないですか笑。

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メディアをつくる――「小さな声」を伝えるために (岩波ブックレット) [単行本(ソフトカバー)] 白石 草 (著)
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