7 27, 2013

建築で知るちがさき展ー旧南湖院

茅ヶ崎市立美術館の企画展示の連動企画「まちなか展示」で、旧南湖院を見学させていただきました。

茅ヶ崎市美術館 共催展 建築で知るちがさき
faebookページ 建築で知るちがさき展

茅ヶ崎に引っ越してきて間もない頃、そういえば茅ヶ崎ってサナトリウムがあったんでしょ、今どうなってるの?と友人にきかれても、さあ?としか答えられませんでした。あるとき近代建築好きな知人から、「お宅の近くの旧南湖院を見学しました。「太陽の郷」の受付で申し出れば、見せてもらえますよ」ときいて、近所の老人ホームが実は元サナトリウムだったとわかったのでした。

茅ヶ崎市史のブックレット「南湖院 高田畊安と湘南のサナトリウム」(茅ヶ崎市史編集委員会編)によると、今は住宅地や高校になっている場所も含めた、5万坪の広大な土地に、14の病舎、日光浴場、集会所、プールなどがあったそうです。

今回見学させていただいたのは、第一病舎(明治32年)と、院長室(大正)、医局です。

第一病舎(竹子室)
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かつてはこの第一病舎に隣接して測候所があったそうです。茅ヶ崎市のブックレットにも当時の写真が載っていました。

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また敷地内に5か所の井戸があり、毎日水位を測っているそうです。日光浴、散歩、食事などで、人間が自然に持っている治癒能力を高めて健康な体を取り戻す、というのが南湖院の療養方針だったそうです。

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第一病舎から、入ってきた正門の方へ目をやると、小さな池と藤棚、その向こうに大きな屋根にソーラーパネルが貼られた建物があります。これは最近建て直されたプールで、井戸水を濾過し太陽熱で温水にしているそうです。

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そのプールの隣の受付・ロッカールームに使われているのが、かつての医局の建物で、外装は直したものの、梁は当時のままで中から見ることができました。

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「キングポストトラス方式」という梁だそうです。帰宅してから検索してみると、橋や、柱を立てられない広い空間を確保する場合に使われるようです。その図面を見ていて、おや?と思い当たるもの。それは、建築途中の海の家。

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もちろん、海の家の簡素な作りに比べて、南湖院の医局は縦横方向に筋交いが入り、しっかりしていますが。

見学の最後に、この「太陽の郷プールガーデン」のパンフレットをいただきました。プールサイドまで車いすで入ることができ、リハビリなどで成果をあげられているそうです。会員制方式の他に、回数券方式などもあるようです。もし両親が近所に住んでいたら、誕生日のプレゼントなどにいいなあ。また、134号線からすぐなので、海岸線をランニングした後クールダウン&シャワーにとか、いろいろな利用法がある気がします。


この旧南湖院の敷地に入って最初に目に入ったのは、ムクドリの群れ。敷地の藪からはヒヨドリやウグイスの声も聞こえました。海岸線の緑のベルト、砂防林につながるこの面積の緑を渡り鳥はたのみにしているはず。

また、院長室の横の小さな池に、トンボがたくさんいるのにも驚きました。青いのや赤いのや。。。(虫はよくわからなくてすみません)。とにかく生き物の気配が濃い。

茅ヶ崎の風光、自然エネルギーを生かして、人が持つ自然治癒力を高めるという、初代院長の思想が、今も隅々にまで生かされているのだなあという印象を持った、今回の見学でした。

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