企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔

企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書) [新書] 松井博 (著)
Kindoke版

13歳のためのグローバル化入門。ここまでわかりやすく書けるとは。シンプルさとわかりやすさ=善をモットーとするApple教団で長年揉まれた人ならでは。

わたしは単なるユーザーでいた頃(Macinrosh SE、IIcxの時代)は、ジョブスの「誰でも使えるコンピューター」という思想をすばらしいと思っていた。技術を一部の人の特権物にせず広く万人に開放するという。

縁あってその組織の中の末端で働いてみると、「しかし、それを作るための技術はゼッタイに分かち合わない方針」だと思い知らされた。万人にやさしいモノは作る、しかし作り方は教えない。

まあいろいろあったが、そこらへんはたくさん発行されている本を読めば載ってるが、ジョブズが満足する製品を人々が使えるようにするには、帝国化するしかなかったんだろう。

たとえば、ツール・ド・フランスの中継を見ていると、屋根の色や様式が完璧に統一された街並みなどが出てくるが、ああいうのも絶対的な権力がないと実現できない。

本書では、今のようなグローバル化社会で生き残るためにはどうすればいいかという、具体的なアドバイスがある。しかし、著者が本書の中で繰り返し述べているように、成功できるのはほんの一握りの人しかいない。例として出てくる人のエピソードを読んでも、ポカーンという感じだ(音楽レッスン室を開業のエピソードは「想像ラジオ」の主人公の前職と似てるね)。では残りの大半の人はどうすれば?

コレを読んで興味を持ったら、「静かなる大恐慌」をオススメします。


そうそう、今まで誰も考えなかったしくみを創ることが出来る能力が大事って書いてあったので、ちょっと考えてみました。Appleにいた頃、ほんの一握りの優秀な人をのぞいて、だいたい2つの人に分類できた。英語は出来るがそこそこの人と、仕事は出来るが英語が苦手な人。あのダ・ヴィンチも語学が苦手だったために出世できなかったという説があるし。英語に代わるだれでも使える言語。完璧な翻訳システム。いや言語でさえない。これが作れたら、いいよね。英語圏からは生まれないと思う。日本語、ロシア語、タイ語圏からかな。どんなものになるか想像できないが。

昔、MTによるblogというものさえ存在せず、個人の日記はhtml言語で書くしかなかった頃、「テキストも写真もすぐにアップロードできて、BBSを介さずとも読者とやりとりできたらいいのに」と言った人が居た。それをきいた人はみな「ええっと」と話題を変えたそうだ笑。今や、SNSを使えば普通にできる。そのときは無理だと思っても、今は可能になっている。