r2

これまた読んでへとへとに。一応フィクションということになっているけど、ほとんどノンフィクションですよね。にしてもよく1冊にまとめたなあ。吉岡斉「新版　原子力の社会史　その日本的展開」をドラマ仕立てにしたような。クライマックスの事件部分は、事前に高木仁三郎著「プルトニウムの恐怖」を読んでいるとよくわかる。そして読後に高木仁三郎の遺作「原発事故はなぜくりかえすのか」を読むと怒りが涙に変わる。

原発関連の本を読んでいくうちに、原発の問題とは中央と地方の格差の問題であり、地方自治の話であり、同じ構造を持つものとして国防の問題があり、あらゆる分野に根を張り浸透しているんだなと気がつく。サイードの「オリエンタリズム」の意味がわかったよ、という感じ。

このように根深いと、もうヒト一人一人が変わるのは無理で、世代が交代するのを待つしかないのか？という気持ちになる。そしてこの本でも、原子力規制庁、資源エネルギー庁、電力会社、マスコミ各社といったムラの中にも世代間闘争があり、逃げ切り団塊世代とその後に続く高負担世代との闘争なのだと、登場人物の一人が語るシーンがある。