日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書) 新書 伊勢崎 賢治  (著)

この本いい本。集団的自衛権について学ぶのに絶対はずせない一冊。きつめのタイトルでとっつきにくいが、ラジオで著者の話を聞いて、ちゃんと一冊読んでおこうと思って。

時間がない方にはこちら

安保法制について考える前に、絶対に知っておきたい8つのこと - 伊勢崎賢治『戦場からの集団的自衛権入門』から

著者は国連PKO上級幹部として東ティモール・シエラレオネで、日本政府特別代表としてアフガニスタンで武装解除を指揮した経験のある人。近年の現場の話がきける。著者が成功した話も、失敗した話も。あと自衛隊が前線に送られた場合の具体的な問題点など。

「丸腰国家―軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略―」を読んで、平和を前向きに見ようと書いたが、著者によると、この平和を守りたいという気持ちも戦争につながると。。。なるほど、今の生活を守りたいという過剰な自衛意識が戦争の前段階らしい。すべての戦争は過剰な自衛意識から始まると。今の日本だね。かつてのステイタスにしがみついている老齢の政治家が多いなあとは思う。もう現実は違うのに。

せっかく安定しているアジアを混乱させるのではないかとオバマ政権は日本をちょっと警戒して見ていると。それでか、いつもなぜか世の中は私が望む反対の方向へ向かっていくが、今回はそうではない感じ、おかしい、こんなはずない、一体広告代理店は何やってんだと思ったら、宗主国様もそう望んでましたか。

竹島・尖閣諸島・北方領土など、国境問題は、ソフトボーダーという中間地帯にして、互いを刺激せず共同管理にするという解決策がある。現実に成功した例:カシミール地方、ノルウェイとロシアの間。

このごろの戦争は、ちゃんとした国家対国家の戦いではなく、独裁者の失脚などにより崩壊してしてしまった共同体内部の混乱が多い。国連PKOの仕事は、武装しているゲリラやテロリストから武器を取り上げ、承認された正式な軍隊にまとめること。ルワンダの内戦の教訓から、民衆が大量虐殺されるのを防ぐため、国連軍といえども先制攻撃をするという方針に変わった。今任務にあたっている自衛隊も同様。9条の制約下でPKOに参加するのは過酷。

イラク派遣 10年の真実 - NHK クローズアップ現代

著者は、日本は、武装しないことで、どこの国にも中立な立場で紛争の解決に当たる役割を果たすことを勧める。9条を持っている日本ならできる。その特別な役割が国連にとって価値があれば、派兵を求められることはない。例:ノルウェー、ドイツ

へええ、ノルウェーですか。

続くかも

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自分では論理的に考えているつもりでも、実は感情にそったものしか受け入れないというのはよくある。この著者は、アフガニスタンでの事業を(ペシャワール会という名前は出さないけれど)「血税を無駄に使った見かけだけの事業」と切り捨てる。元会員としては一部JICAと共同事業として税金が使われていたのがまず意外だったが(報告書に書かれていたか?気がつかなかったけど。。。)、ええー無駄?無駄ですか?。。。と納得しにくい。しかし視点を変えればそう評価する人もいるだろう。ま、それは仕方ないなと思えてきた。てゆうかJICAの資金がどれくらい入っているか報告書からはわからないんだけど、どうゆうこと?

著者の言葉遣いはちょっと断定的なので、しかもこれほどの経験をした人は他にいないという点で、尊敬する元自転車選手の市川雅敏さんを思い出す。当時業界では突出した経験値を持つ人だったが、ランス・アームストロングがドーピングをしていることを隠さなかったため、「話が自慢話すぎる」というわけのわからないバッシングを受けてテレビの解説陣から消えた。当時、本当のことを言っていたのは市川さんだけだった。

一人だけダントツに世界を知っている人は、周りから理解されにくいかもしれないなと余計な心配をしてしまう。でもそのとき、周囲の利益に合わなくて空気が読めない人と言われても、時間が経てばいつか真実は評価される。時間が経ったとき、どちらが後世の人から評価されるか?

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わたしは、特定の政党、政治家、団体、宗教を支持しません。わたしは世の中がどうなっているのか、これからどうすべきなのかを知りたい、それだけです。その副産物として、わたしが支持・不支持を検討するのは「政策」です。周りの人を自分と同じ考えに染めようとも思いません。多様性があったほうがリスクが減るし。結果的に日本が変な方向に行かなければ、それでよしです。

今回の法案に賛成の立場を表明している人は、わたしのように反対だと明言している人と同様にちょっと一直線なところがあるんだと思う。方向は違えど、似たもの同士なので親近感さえおぼえる。