動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー

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動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー 単行本(ソフトカバー) 片野 ゆか (著)

著者の片野さんがラジオに出演して著書の内容を語っていたのを聞いて読んでみました。旭山動物園で有名になった、動物の行動展示。動物の形態だけでなく、本来の生態を見せる工夫は、全国あちこちで試みられているのですね。

著者が取材した4つのケースがドキュメンタリー風に書かれていて、最初はラジオでも語られていた埼玉県こども動物自然公園のペンギン。日本における動物園のペンギンの展示は、ほとんどがガラスとコンクリート造りで完全空調の部屋の中。それを土や植物がある露天の環境に放したところ、生れてこのかた土を踏んだことがないペンギンたちは怖がってプールの水から出てこない。。。その不安を少しずつ取り除いていく飼育員さんの苦労の物語。

チンパンジー(日立市かみね動物園)は、乱暴で残酷な人間の社会が連想されて、ちょっと苦手だったな。アフリカハゲコウ(秋吉台サファリランド)とキリン(京都市動物園)の物語には涙。ハゲコウの本来の生態を活かすべく自由飛行展示に挑むも、そのまま飛んで行ってしまい、数日後に和歌山で発見、衰弱しているハゲコウを保護する作戦を決行するが。。。

優秀だが型破りな部下を持つ上司、思春期の子供を持つ親など、相手を保護し指導しつつも相手の長所を生かして能力を解放しなければならない、そんな立場にある人の悲喜こもごもが連想される。

これを読むとこの動物たちと飼育員さんたちに会いたくなる。いつかチャンスがあれば。。。