以前著者がラジオに出てお話をしているのをきいて気になっていた本。自転車やバードウォッチングでうろうろする近所の里山では冬の狩猟期間中、ときどきイノシシ猟の鉄砲の音を聞く。狩猟というと鉄砲撃ちまくるイメージだが、著者が行うのは「くくりわな」という手法を使うわな猟。シカやイノシシの行動を読んでけもの道にわなをしかける。狩猟対象の動物の行動だけでなく、相手の習性や食べ物である植物のことをよく知っている必要がある。どこに何が生えているかという地理的な知識と、いつ芽吹き花が咲き実がなるという時間的な知識と。
里山に出没する動物と人間の暮らしの関わりについて著者が語る部分の他に、猟の師匠から聞いた動物ごとの狩猟の方法などをまとめている部分がある。わたしが気になったのはアオバトで、アオバトが人によって狩られていた歴史があるなら、不思議なアオバトの生態について昔の人は何か知っていたかもしれない。でもドバトとキジバトについてはあったがアオバトについての記述はなかった。
この本は狩猟についての本だが、なんというか哲学的な雰囲気もあり「頭のいい人向け」という感じがする。
次の本は写真が主で、実践編。現役の猟師のみなさんが紹介され、オススメ料理のレシピやハンドクラフトの方法、わなの作り方、解体の仕方など。出版社どこかなと見たら、やはり農文協!さすが。
イノシシ肉が臭い硬いと言われるのは、仕留めた後の処理が未熟だから。腕のいい猟師が獲った肉はおいしいらしい。
イノシシ料理のメニューは基本豚肉料理と一緒なのね。シカは煮込むと硬くなるのでスライスで利用するべしとある。