いわし雲

遅い昼食をとるために海岸まで出ると波打ち際にカモメの群れがあった。
波が寄せるたびに小さなイワシが打ち上げられて跳ねている。
それを拾って帰ろうとする家族連れ、海に投げ返す人。

「鳥の下には魚がいるんだよ。昔は魚群探知器はなかったからね」
女の子の手を引きながらお父さんが話しかけている。

空には季節外れのいわし雲が広がっていた。