どちらかというと地元の人には「いや、あれは...」と触れられたくないものとして扱われることが多いという巨大仏だが
地元出身の友人Fちゃんは「子どもの頃、近くを通ると怖くて怖くて、なるたけ見ないようにしていた」そうな大船観音。白くてツルンとした感じが、古都鎌倉のイメージと真向対決。まず遠くから見て、だんだん近づいてきて、というステップを踏めばまだしも、電車に乗ってる人は、大船駅に滑り込むと同時にご対メーンだから、ヒエーっと思っちゃう。
数年前11月のある日、神社仏閣マニアの友人がぜひ近くで見たいというので付き合って拝観してみた。
初めて降りる大船駅西口。激安商店街と有名予備校と鎌倉芸術館がある東口とは全く対照的。暇そうなタクシー乗り場、色あせた(ように見える)バスが待つロータリー、古い食堂。
観音様こっちという看板に導かれ、駅裏の急な山道をハアハア言いながら登って行くと、上がるにつれ視界が開けて、小田原方面と横須賀方面に別れて行く線路が見える。電車の音が下界から聞こえる。国道をアリの行列のように動く車のフロントガラスの光。風の音。
山門をくぐると参道の両わきには寄進者の名前が入った灯籠が並ぶ。その名前。カタカナ?タイ?ベトナム?な名前。そう、意外とここってアジア各地から来ている人たちの心のオアシスらしいのです。毎年秋にはインターナショナルなお祭りもあるそう。
つながる ひろがる アジアのねがい
休憩室にあったパンフレットによると、ここは曹洞宗。世界各国のお寺と交流があるそう。世界中を飛び回って働いて、タイに永住した高校時代の友人、H川君を思い出した。タイには日本人住職のお寺があるって言ってたなあ。日本にいるときは宗教なんて縁がなかったけど、異国で暮らすと心の支えが欲しくなるって言ってた。なんでタイなの?ってきくと、女性がやさしいからって。日本の女の人は怖いんだと。なによそれ!どこの女だって心の中で思ってる事は一緒よ!抗議したあたしたち。(ほーらこわい(笑)
この観音様を初めて見に行く人は、足元まで行けば全身が見れるという期待を持って行くと思うので、その全貌(?)を見た時には「ダマサレタ!」と、思ってしまうのは仕方ないかな。あたしたちもブリブリ文句を言い、一応手を合わせて、売店で売られているグッズについて子細に検討し、休憩室のパンフレットを肴に30分ぐらいしゃべって時間をつぶし、鎌倉芸術館のヴィクトリア・ムローヴァのコンサートに行ったのでした(実は時間潰し ^^;)
でも友人ともあのときの演奏は忘れられないねって言う。いつもは座席で待ち合わせ、ぎりぎり滑り込みセーフで余裕がない状態で聴くので、演奏中に眠くなったり、その後のお茶で話しが盛り上がって肝心な演奏内容をすっかり忘れたりする。あのヴァイオリンの音を今でもおぼえているのは、その前に観音様の山の上で風に吹かれたからじゃないかなと思うの。心に空き容量、大船観音。
アジアの仏像って極彩色だから、アジア系の参拝者のみなさんは、あの白い大仏を見るたびにきれいな色に塗りたいだろうな。なーんか未完成な感じで納得いかないんじゃないだろか。逆に日本人のあたしたちは、苔が生えた石仏みたいに渋い質感だったらなと思う。あの白はどっちでもないインターナショナルな色なのかな?
ぱ
以前お寺の工事に行ったことがあったのですが、そこには子どもを抱いた真っ白な観音様がいて、何となくマリア様とダブってしまいました。
り
あ、ほんと!ぱ さんがおっしゃるとおり、マリア様にも似てますね。