旅人

雨の中ここ6階の窓の外は、渡りの途中のコシアカツバメのご一行様9羽が飛び交ってお食事中。どこを出発して、どこへ行くのか?あの小さな体で。中の1羽はもう羽がボロボロ。無事に旅を終えられるといいと思う。

そういえば今年もタゲリ米の予約が始まった。茅ヶ崎にはもうすぐシベリアからタゲリたちが来る。年々減ってるんだけど。たとえもしタゲリが来なくなっても、このシステムは続いて欲しい。

旅と言えば、昨日は半年ぶりに車に乗って出かけた。ここを見て。

箱根を越える国道1号線で、歩いて南下する旅人を見た。季節を追いかけて旅するのは鳥だけではないのです。平塚の国道1号線の近くに住んでいる時に、徒歩で渡っている人たちがいることに気がついた。

春は南から北へ、秋は北から南へ、荷物一つ持って、"その道"が長いと思われる人が歩いて旅している。同じ空間にいながら、車や電車で旅するわれわれとは違う時間感覚、違う価値観の世界に住む人たち。

それからもちろん、漕いで旅する人もいた。箱根の坂を自転車で上っている人たち。下りも大変だろな。今夜のブエルタの放送で、栗村さんが下りについて解説してたけど、下りは怖い。エンジンブレーキないもんね。



ススキは山頂までススキなのがいい。砂漠みたいに、越えても越えても果てしなくどこまで続くのだろうとおもうぐらいのが。

ススキの中を歩く人の後ろ姿を見て、子供の頃読んだ本の話しを思い出す。旅人が夜、山道を歩いていた。道の両わきは見渡す限りススキの原だった。

誰も住んでいないような古い小屋があって、少し開いたドアから中をのぞくと、風がゴーっと吹き、一面のススキを揺らした。ちょうどそのとき雲の切れ間ができて、窓から月の光が小屋の中にさっと射した。

すると月光と一緒に小さな光の子がたくさん降りてきて、飛んだりはねたり遊ぶのが見えた。旅人はその子らをおどかさないようにそっとその場を立ち去った。

箱根の乗り物