児童書のコーナーで手に取った本。何かについて研究するとはどういうことか、具体的な手法がわかりやすく述べられている。が、事実に迫るとは、物事の理屈を知るとは、生物としてのオキテの容赦のなさを知ることでもある。。。
ネコの毛の色を決める遺伝子と、アドレナリンの分泌量を決める遺伝子には相関関係があり、猫の性格はだいたい外見で判断できる。。。というのを別の本で読んだとき以来のショック。
この本の研究テーマは、猫の繁殖についてなんだけど、ぶっちゃけ、どういうオスがメスにもてるのか?という研究。そもそも野生のネコを観察して生態を研究するなんて時間と手間がかかる研究はあまり例がないのだけど、今回も従来通り、体が大きくてケンカが強いオスがメスと交尾する機会が多い、という観察結果になった。
ところが、このごろはDNA検査というのができる。それで子猫たちの父親を調べたところ、意外と強いオスほど子猫をたくさん残しているというわけではなかったのである。
発情したメスの周りには、オスたちがスタンバイしている。強いオスほどメスに近づける位置取り。オスの序列が優先権を決定する。ので、公的には、目撃される限りでは、強いオスほどチャンスがあるように見える。しかし!メスは序列順に囲んでいるオスを振りきって、密かに気に入ったオスとあっという間に交尾している可能性がある、ということが明らかになったのである。
そのメスがオスを選ぶ基準とは。。。アウェイのオス。よそ者が好きなのです。転校生とか、本社から来た人とか、外国人とか、スナフキンとか。
オスがホームにとどまる限り、やはり体が大きいヤツがケンカに強い。しかし、知らない土地に流れて行って、他流試合となると、体が大きくてもなかなかケンカに勝てない。アウェイは不利らしい。でも、メスにはモテる。
オスたちが戦っているあいだ、メスは自分の基準で選んだ好みのオスとちゃちゃっと。。。ですよ。
DNA検査ができるようになって、初めてわかった事実です。長年、ネコのオスも、ヒトの研究者もだまされてたのですね。以前、猫のマッサージ本にあったんですけど、その著者は若い頃、実験用のネコを繁殖させるアルバイトをしていた。最初単純に考えて、オスとメスと1匹ずつケージに入れてみたが、全く子猫は生れなかった。そこで、ネコたちを大部屋に放すと、オスの間に序列ができ、トップのオスがすべてのメスを妊娠させて、あっという間に部屋は子猫だらけになった。。。と。r2: 猫とスパイと源氏物語
あの人もだまされていたわけです。オスのみなさんは、無駄に戦い合って消耗するよりも、自分を気に入ってくれるメスを探して旅に出た方がいいですね。地元(国内)に居てもモテないのよ。