丹沢の行者道を歩く

丹沢の行者道を歩く [単行本] 城川 隆生 (著)

はーおもしろかった。昭文社の「山と高原地図 丹沢」とGoogleMapsを手元に、山伏になったつもりで、エア丹沢の山中をうろうろ。今は廃道になっている修験道を等高線を見ながら探索。修験道は基本尾根道だそう。カシミールによる俯瞰図などあって、地図マニアにはうれしい。

著者は地元秦野出身の元高校教諭。行者のルーツとか、丹沢の山を胎蔵界と金剛界の曼荼羅に見立ててあるとか、修行の行程など興味深い。行者たちによる一山支配は北条氏の支配下までは栄えたが、江戸幕府の直轄地になると、山伏たちは山を降りはじめ、まあ落語にもある大山詣りのガイドなんかしつつ、そして明治時代に廃仏毀釈令で完全に葬られた。

江戸時代に大山が女人禁制になったのも(しかも夜だけ)妻帯する山伏たちを追い出すため。昼間来ても良いけど、住んじゃダメってことらしい。知らなかったな〜。

山に対する信仰は弥生時代以前にはなかったそう。稲作に何よりも大切な水をもたらしてくれる地として、山は崇められてきたのね。雨を降らせ、沢に集め、川筋になって平野に水をもたらしてくれる山。この本を読んでから、丹沢についての印象が変わった。山々の名前や位置関係も自然とおぼえたし。。。

地図にない窪地、行者のキャンプ地「すりばち広場」に行ってみたいな。