原発事故で、生きものたちに何がおこったか。

原発事故で、生きものたちに何がおこったか。 単行本 - 2015/2/18 永幡 嘉之  (著, 写真)

巨大津波は生態系をどう変えたかの著者の写真集。図書館のこどもの本コーナーで発見。原発事故と放射性物質の拡散そのものは、短期間の見た目には自然に変化を与えないが、事故により人間が避難したことによって、景観が大きく変わった。水田が乾燥して荒れ地になり、湿地に棲む生物が激減したなど。

中には放射性物質が生物の遺伝子に与えた影響を、自らの危険を冒して調べた人たちも居た。彼らは、長年培ってきた昆虫の培養と遺伝子調査の技術を今こそ使うべきだという強い使命感を持って調査したそう。。。

そのくだりは個人的に胸が熱くなるけど、それはおいといて、そしてわかったことの一部として、放射性物質の生物への影響というのは、かなり個体差があるということ。

かつてアメリカで国家ぐるみで行われた人体実験「プルトニウムの人体投与」のルポルタージュ「プルトニウムファイル」にもそういう報告があった。ここまでは大丈夫という基準を決めてもその通りになるとは限らない。放射性物質の安全基準値は、人体の安全のためではなく、経済や流通上の都合のために存在する。

また「巨大津波は生態系をどう変えたか」にもあったが、災害などで環境が変わったとしても、生息域が分断されておらず連続した面積がある場合は、種が復活する可能性が高い。延べ面積が多くてもそれがスポット的に点在している場合は難しい。大事なのは連続性、ベルト地帯なのね。それを人為的な土地利用で分断しないように気をつけなければ。