なんとか最後まで読んで思い返すと、一番のヘルは冒頭のまだ事件が起こる前の部分だった。逃避行が始まってからは、状況的には最悪への道をまっしぐらなんだけど、逆に主人公の心はだんだん解放されて行く気がする。
作中に、様々な「女の敵」のサンプルが出てきて、興味深い。善人の側には「日本で修業した僧」というのも出てきて、笑った。登場人物のうち、見た目が善人の悪人ほど物語を創るのが上手いんだな。この作者はどんな人なんだろ。ダートが地獄で書いているのか?ファンタジー文学のファンをコケにしていると思うけど、そういうのをミステリーファンは喜んで読んでいるのか?
読み終えてほっとしてるけど、何も読む物がない真っ黒な夜には、ノラとの旅がちょっとなつかしい。