レット・イット・ビー

レット・イット・ビー 単行本 - 1988/11 若桑 みどり  (著)

若桑みどりにしては珍しくエッセイ集。女性画家列伝 - r2を出版した後の反響について書かれた一文がある。

    この本(「女性画家列伝」)かへの反響から私が学んだことは、女性の自立と解放なしには、男性の解放も自由もないのだということを、最も切実に知っているのは、実は妻子を持った壮年か老年の男性なのだ、という事実である。そのことは同時に、女性の解放という問題は、男女を越えて人間性そのものを圧迫し差別しているあらゆる桎梏(しっこく)の取り壊しによってしか実現されない、ということを意味している。p163

まさかと思ったが、このほんのタイトルは、ビートルズのあの「Let It Be」のことだった。

    私は美術史家だけれども、ほんとうに悲しいときは、音楽を聴くのであって、絵を見るのではない。打ちのめされている心には、絵など何の役にも立たない。だれでも生きているうちには、この夜の明けるまでとうてい生きていられまいと思うような夜がある。

    "夜の空に雲がたれこめても、わたしの上に射す一筋の光はある。その光は朝まで続き、消えはしない。わたしは音楽によって目覚め、聖母マリアがわたしのそばでささやくのを聞く。すべてをあるがままにあらせなさい。きっといい日がくる。" p218

    どうしようもない状況を暴力的に変えようというのではない、さりとて、それに従えととか、満足せよというのでもない。そういう状況の中でも、やけを起こさず、希望を捨てないといういうのである。 p219

小学生の頃からそらんじていたこの歌詞。中学で卒業したと思っていたビートルズ。若桑さんのテキストを読み、久しぶりに聴いて涙が。。。子どもの頃は知っているようで、本当の意味がわかっていなかった。