この本を書いたわけ

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日刊デジタルクリエーターズに紹介記事を書きました。
以下はその記事の再録です。デジクリでは9月3日までデジクリ読者1名に書籍プレゼント中!


■メイキング・オブ・ブックス&プレゼント/ActionScript3.0の楽園への招待状『Adobe Flash CS4 詳細!ActionScript 3.0入門ノート[完全改訂版]』/大重美幸

 みなさん、こんにちは。大重美幸です。2年前の2007年の8月31日にCS3のAS3入門ノートを出し、昨年の7月31日にはCS3のAS3入門ノート2を出しました。そして、今年も8月15日付けで『Adobe Flash CS4 詳細!ActionScript 3.0入門ノート[完全改訂版]』を発行することができました。図らずも毎年夏にAS3入門ノートを出しているわけで、夏に出るのは入道雲とAS3入門ノートという風物詩になりそうですかね?

 さて、3冊目に当たるAS3入門ノート[完全改訂版]ですが、AS3入門ノート2が最初のAS3入門ノートの続編だったのに対し、今年の本は初心に戻って仕切り直しのAS3入門ノートという内容です。ただ単にAS3入門ノートのCS4対応版というのではなく、完全改訂版という呼び名にふさわしく、ほぼ全ページを書き下ろしました。

●「AS3入門ノートは難しい」からの反省
 なぜ完全改訂版として作り直したのか?その理由は、最初のAS3入門ノートを多くの人に読んでいただき、「AS3をこの本で覚えました!」といううれしい言葉をたくさんいただくことができたのですが、一方で「難しすぎて入門書なんて偽りだ」という声も聞いていたからです。実際、ぼくが思うにもちょっと難しかったかな?という反省があります。

 そうなった理由は、2年前のAS3が出たばかりでまだほかに本がない頃に、「ActionScript3ってどういうの?」と期待をもっている人に、AS3に早く慣れるにはフレームアクションを捨て、早い段階からクラス定義ファイルを使うスタイルに移行することがベストであると伝えたかったからです。自分自身、AS3の魅力と難しさにちょっと興奮して、ヘタなAS3は見せられないと息巻いていたかもしれません。しかし、この判断が「初心者には難しい」という結果を招いたのも事実です。

 そこで今回の完全改訂版ではその反省を踏まえ、フレームアクションで試せるところは手軽にフレームアクションを使い、クラス定義したほうが効率がよい場合はその実例を見せるというスタンスで執筆しました。そして、前作ではクラス定義が第4章だったのに対し、完全改訂版では第8章になっています。また、「表示オブジェクトと表示オブジェクトコンテナ」について、前作ではAS3の目玉的な変更箇所として最初にとりあげましたが、完全改訂版では本当に必要になる段階までそのことに触れず、逆に第7章としてたっぷりとページを割きました。


●初心者向けにレベルを上げた?!
 このように初心者にも読みやすくなるように説明方法だけでなく、ページ構成も見直したわけですが、初心者向けにレベルを下げたのかというとそれは話が違います。むしろ、初心者向けにレベルを上げています。いったいどういうこと?と思うかもしれませんが、そこが本書のウリでもあります。

 AS3は十分に難しいプログラム言語になってきました。AS3で実現できることが多くなり、同時に高度にもなってきています。その分、初心者に求められるスキルも高くなっているのです。初心者レベルというレベル幅が広くなって、初心者卒業のハードルが上がっているのです。これは必ずしもAS3が難しくなったのが原因というわけでもありません。インターネット利用の成熟度が高まり、要求レベルが上へ引っ張られたということでしょう。

 この状況で初心者向けの本のレベルを下げることは、読み終わってもまだまだそこから先が遠い本になってしまいます。状況からすると初心者向けの本の最終レベルは上がってこそしかりです。ただ、書籍にはページ数という物理的な制限があります。今回の完全改訂版は496ページ。前作は472ページで24ページ増やしましたが(細かい話をすれば、行間も狭くした)、このあたりが書籍としては限界です。これ以上にすると読む方も辛く(書くのも辛いですけど(^^;;)、書籍の価格も上がってしまいます。ちなみに前作は3,800円で今回は3,500円。ページが増えて安くなってる!

 それでも完全改訂版ではAS3入門ノートから5割、AS入門ノート2から1割、CS4の新機能を3割、残りを前作で説明しきれなかったこと、というような内容を盛り込んでいます。最終レベルを引き上げ、同時に初心者にも読みやすくする。この相反するような命題を限られたページ数でどう解決するか。ここはライターの腕の見せ所とも言えますが、実際には「読者は成長する」という明解な答えに従っています。言うなれば、書籍は読者と一緒に作るというコンセプトです。


●CS4の新機能
 先にも書いたように、本書ではCS4の新機能も取り上げています。具体的な目次構成は次に示すとおりです。★CS4のマークが付いているものがCS4の新機能についての説明が含まれている章です。新テキストエンジンと3D機能はFlashの可能性を一段と広げる注目の新機能です。

   Chap01 プログラミングの基礎知識
   Chap02 数値とストリング
   Chap03 配列とベクターと結合配列★CS4
   Chap04 イベント処理の基礎
   Chap05 基本的なアニメーションテクニック
   Chap06 PointクラスとRectangleクラス
   Chap07 表示オブジェクトと表示オブジェクトコンテナ
   Chap08 クラス定義
   Chap09 図形の描画 ★CS4
   Chap10 テキストフィールドと新テキストエンジン★CS4
   Chap11 ビットマップとビットマップデータ
   Chap12 フィルタとカラー調整
   Chap13 日時とタイマー
   Chap14 外部ファイルの読み込み
   Chap15 XMLを使う
   Chap16 サウンドの再生
   Chap17 3Dを使った表現★CS4
   Chap18 ブラウザやサーバープログラムの利用

※sectionレベルまでの詳しい目次
http://oshige.com/flash/as3note_cs4/cat236/


●書評
 Amazonをはじめとして本書に対する書評を目にすることがあるかと思います。書評は褒めてあるとうれしいものですが、手厳しい内容でもいろいろ参考になります(読む度にヘコみますけど)。今回は意識的にあちこちに献本させていただいところ、ブログなどに書評をたくさん書いていただきました。献本なのでちょっと甘めの紹介かもしれませんが、それを差し引いて読んでもらったとしても、本書の良さを感じ取っていただけるのではないかと思います。みなさん、よく知っている人ばかりだと思います。

 書評をいただいたのは次の方々です(2009年8月25日現在)。
Saqoosha(さくーしゃ)さん、trick 7(寺井周平さん)、F-site(沖 良矢さん)、面白法人カヤック閃光部のみなさん、xingxx(加茂雄亮さん)、blocco deli architects(木曽隆さん)、宇都宮ウエブ製作所(宇都宮正宗さん)、アップルップル(山田拓生さん)、Pickles(タナカミノルさん)、blog.taiga.jp(廣畑大雅さん)。みんなありがとう!!

※書評まとめページ
http://oshige.com/flash/as3note_cs4/cat242/


●楽園への招待状
 帯には大きく「これを読め!!」と書いてあります。この言葉はぼくから読者へ向けての挑発というつもりではなく、上・中級者が新人に向けてこう言って手渡す状況を想定しています。帯には「Flash CS4の楽園への招待状」とも書いています。ぼくの気持ちはこちらです。本のカバーは楽園をイメージしてもらいました。よく見るとサーフィンをしているぼくとその向こうに椰子の木が茂った楽園が見えるでしょ?

まったく新しいAS3の世界!
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Adobe Flash CS4
詳細!ActionScript3.0入門ノート[完全改訂版](CD-ROM付)

楽しいActionScript。
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この本を書いたわけ

このブログ記事について

このページは、oshigeが2009年8月27日 06:03に書いたブログ記事です。

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