気がついたら昨年、原発関連で40冊以上も読んでいました。日本国内にとうとう放射性物質拡散により人が住めないエリアができてしまった、という現実。友人、知り合い、お世話になった方にも東北地方出身の人がいて、ときどきはっとさせられる日々。今まで無関心でいた後悔。。。昨年は好きな本をがまんして半ば義務として読んでいました。
読んだ本の感想は「読んだ本」または「books」というカテゴリーに入っています。原発について知りたいけど時間がない方に、概要だけでも。。。ああでも大した事書いてないし、本当に個人的な感想・自分用のメモなので、一般論とはほど遠い。。。恥を忍んでご案内します。
また、どれを読んだらいいか?という方には下記の本をおすすめします。新たに検索してみると、事故前に出た名著の復刊、新装版、増補版が半年の間に出ていました。岩波書店の本は電子出版でも読めます。
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・チェルノブイリ―アメリカ人医師の体験 ロバート・ピーター ゲイル (著), T. ハウザー (著), 吉本 晋一郎 (翻訳) 岩波書店(現代文庫版) amazon(現代文庫版) r2 (岩波新書版上・下)
事故直後に自ら日本にやってきたゲイル博士とは誰?何しに来たのか?知りたくて読み始め、わたしが原発本を読まなくてはというきっかけになった本。「技術的なことに関して完全には理解できていないからといって、意見を述べることを畏れる必要はないから、自らの考えをしっかり持ち、発表してほしい」「党の政策や一時的感情によってでなく、知識に基づいて投票することが、民主主義の国の国民の責任である。」という著者の言葉に触発されました。
・原発と日本の未来――原子力は温暖化対策の切り札か (岩波ブックレット) 吉岡 斉 (著) 岩波書店 amazon r2
・原子力の社会史―その日本的展開 (朝日選書) 吉岡 斉 (著) 朝日選書(新版) amazon(新版) r2(1999年版)
「原発と日本の未来」は事故後、図書館の原発関連のコーナーをうろうろしていて偶然手に取った本。これが事故の一ヶ月前に発行されていたことに衝撃を受けました。それまで原発本は、反原発派の人の「こわい」「あぶない」が連呼されているものしか知らず、客観的な立場から原子力政策を解説したものを初めて読みました。吉岡 斉(よしおか ひとし)の著作は片端から読みましたが「物理・化学から考える環境問題―科学する市民になるために」に、原発推進派の科学者がとらわれている「パラダイム」についての説明があり、そういうことだったのか・・・と一瞬霧が晴れた感じがしました。
・プルトニウムの恐怖 (岩波新書 黄版 173) 高木 仁三郎 (著) 岩波書店 amazon
・原発事故はなぜくりかえすのか (岩波新書) 高木 仁三郎 (著) 岩波書店 amazon r2
高木仁三郎の本も目に入るものすべて読みました。すでに他界した人ですが、素晴らしい仕事を残してくれていて感謝しています。前者は原発についての技術的な解説と警鐘。後者は原子力ムラに対する批判、原発のみならず個人として職業人としていかに社会と接するかという問題も扱っています。わたしはあえて、文化系の人に前者を、理系の人に後者をおすすめします。
・内部被曝の脅威ちくま新書(541) 肥田 舜太郎 (著), 鎌仲 ひとみ (著) 筑摩書房 amazon r2
・プルトニウムファイル〈上〉〈下〉アイリーン ウェルサム (著), 渡辺 正 (翻訳) amazon〈上〉 amazon〈下〉 r2
市井の被爆者を長期間にわたり診てきた医師の報告と、それを裏付けるアメリカ政府の極秘文書からの報告。この2冊の内容については意見が分かれるかもしれませんが、読む前と後では「放射性物質を扱う」ということについての感覚がかなり変わります。「プルトニウムファイル」は絶版で古書価格が高騰しているようです。(特に日本人が)原子力政策について判断するに当たり必読の書だと思うので、ぜひ文庫か電子出版で復刊して欲しいです。
・知られざる原発被曝労働 ---- ある青年の死を追って ---- 藤田 祐幸 岩波ブックレットNo.390 岩波書店 今の一冊/編集部だより amazon r2
原発被曝労働者30万人。原爆の被爆者手帳保持者30万人(1995年)。国内に同じ規模の2つの被爆者の集団。しかし国から受けることのできる権利は雲泥の差。原発のシステムの一面が見える本。昨年11月に復刊されました。
・隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ 小出 裕章 (著) amazon r2
講演会の収録。話し言葉でわかりやすいです。エネルギー消費量と平均寿命はある時点から相関関係がなくなる。生命維持に関係ない無駄なエネルギーが膨大に消費されているこの社会構造への批判。汚染食品とどう向き合うか?事故が起こってしまった今どう生きるべきかヒントをくれる本です。
・脱原子力社会の選択―新エネルギー革命の時代 長谷川 公一 (著) 新曜社(増補版) amazon(増補版) r2(1996年版)
アメリカ、サンフランシスコのサクラメントにて、住民投票により原発が廃炉にされた。そのいきさつ。日本とは事情が違うところもありますが、脱原発を現実にした例。具体的な手法が学べます。
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コレには真実があると思えた本は、読む過程が著者と寝食を共にする旅のようでした。著者の人生、ある事象に対し彼(彼女)がどう行動したか、その課程でどのように考えが変わっていったかをなぞる旅。厚い本を読むのは時間がかかりますが、ネットでスキャンした情報とは質が違う気がします。
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2013年10月08日 追記
あれから月日が経ち、原発関連の話題は、汚染水処理に関することに集中していますが、
その後、これはと思った本を追記します。
・福島第一原発 ―真相と展望
あの日何が起こったのか?バラバラに出てくるニュースの意味は?全体像をおしえてくれる、一般人向けの書。
・放射線医が語る被ばくと発がんの真実
内部被曝については、福島第一原発から23キロにある総合病院で働く血液内科医・坪倉正治さんの「内部被曝通信」を購読しています。内部被曝通信 - アピタル(医療・健康)